私たちは人との関わりの中で、安心感や距離感をどのように感じ、どう関係を築いていくかに“愛着スタイル”が深く関わっています。
愛着スタイル「不安型」「回避型」「恐れ回避型」の特徴を紹介します。
自分自身や身近な人の傾向を知ることで、人間関係における“なぜこうなるのか”という疑問に、気づきのヒントが得られるかもしれません。
※ここで紹介しているものは、あくまで傾向であり「自分は不安型だから不安型の特徴すべてに当てはまる」という訳ではありません。
【それぞれの愛着スタイルの具体的特徴】
不安型愛着スタイルの特徴
他者とのつながりを強く求める一方で、不安や孤独感に悩まされやすいのが「不安型」の特徴です。
対人関係でよく見られる傾向
- 人の顔色に敏感で、相手の反応に一喜一憂しやすい
- 少しでも連絡が遅れたり、会えない日が続くと「嫌われたかも」と不安になる
- 相手に対する期待が高く、思い通りにならないと「裏切られた」と感じやすい
- 3〜4時間返事がないだけで不安に襲われることも
- 他者の変化に敏感で、相手の気持ちに気付きやすい反面、振り回されてしまう
心の内面にあるもの
- 自己肯定感が低く、「自分はダメだ」と感じやすい
- 一人でいるのが苦手で、常に誰かや何かに依存しがち
- 「私は一人なんだ」「誰かに必要とされたい」という気持ちが強く、過剰に相手に尽くしてしまう
- 他者との境界線が曖昧で、相手の苦しみを自分のことのように感じてしまう
- 自分の気持ちやしんどさに蓋をして、「大丈夫」と我慢してしまう傾向
対人トラブルにつながりやすい面
- モラハラや支配的な関係に巻き込まれやすく、自覚しにくい
- 献身的にサポートしすぎて、相手の成長や自立を妨げてしまうことも
- 嘘をつくのが苦手で、つい正直にすべてを話してしまう
- 独占欲や依存心が強く、関係が近づきすぎて崩れてしまうことも
回避型愛着スタイルの特徴
感情との距離を保ち、人との深い関係に警戒心を持つのが「回避型」の特徴です。
対人関係でよく見られる傾向
- 心のつながりや親密さに恐れがあり、距離を置きたくなる
- どんなに親しい人とでも一緒にいると疲れてしまう
- 突然連絡を断ちたくなる、誰とも関わりたくなくなる時がある
- 自分の話をあまりせず、感情を見せないようにしている
- 他人を信用しにくく、「誰も本当にはわかってくれない」と感じている
心の内面にあるもの
- 感情を感じることそのものが苦手で、思考で物事を処理しがち
- 悲しみや苦しみを感じることを避け、機械的になれる
- 理想の自分像に強くこだわるが、そこから外れると強い自己否定に陥る
- 自分の弱さを見せることに強い抵抗があり、プライドが許さない
- 本当はわかってほしいのに、自分を表現しないために周囲から理解されない
行動のパターンとリスク
- 何か目的がないと行動できない「効率主義」になりがち
- 完璧主義のため、ちょっとした指摘で全否定されたように感じる
- 他人や自分に厳しく、理想から外れた自分に落ち込みやすい
- 自分の感覚に敏感で、特に音などにストレスを感じやすい
- 無理を重ねて体調を崩すまで頑張ってしまう
恐れ回避型愛着スタイルの特徴
他者とのつながりを求めながらも、深く関わることに強い恐怖や不信感を抱きやすいのが「恐れ回避型」の特徴です。
近づきたい気持ちと、傷つきたくない気持ちの間で、葛藤を抱えています。
対人関係でよく見られる傾向
- 親しくなると不安や警戒心が強まり、距離を取ろうとする
- 相手の好意や優しさを「本当なのか?」と疑ってしまう
- 表面上は平静を保っていても、内心では激しい葛藤や緊張を感じている
- 近づきすぎると自分が壊れるような不安があり、人との関係を途中で断ち切ることもある
- 本音を話すことが苦手で、感情やニーズを押し込めてしまう
心の内面にあるもの
- 「どうせ裏切られる」「信じたら傷つく」という根深い不信感
- 自分にも他人にも心を開けず、孤独感を抱えている
- 自己否定と防衛が混在し、「本当の自分は受け入れてもらえない」と感じている
- 感情にフタをするクセがあり、自分の本当の気持ちが分からなくなることがある
- 「愛されたい」と思う反面、「愛される資格がない」と感じやすい
対人トラブルにつながりやすい面
- 親密になりかけた相手を急に拒絶したり、冷たく突き放してしまう
- 相手からの好意や関心を過剰に疑い、距離を置こうとすることで関係が不安定になる
- 助けてもらうことや頼ることに強い抵抗感があり、「一人で頑張りすぎる」
- 人との深い関係が長続きしにくく、自己孤立が強まることも
- 感情が不安定なとき、攻撃的・冷淡・拒絶的な態度をとってしまいやすい
【おわりに】
愛着スタイルに「良い・悪い」はありません。それぞれの特徴を知ることで、自分の心の動きを理解し、他者との関係の中で少しずつ安心や調和を取り戻していくことができます。
まずは「私はどの傾向が強いだろう?」と、自分に優しく問いかけてみてください。